10代最後の頃に付き合っていた男。
華奢で前歯が欠けていて
いつもサングラスをかけて
蟹股で歩き
愛読紙は
「ドリフト天国」「チャンプロード」の男。
当然車が大好きで、
バイクも好きだから、
いらなくなった車やバイクの部品で
ひとつの部屋を埋めるほどコレクションしていた男の話。
あるときケンカになり、
ボコボコに殴られることがあった。
離れたくて雪の中歩いて2時間ほどかけて
実家に帰るも、
一時実家で同棲していて、
合鍵を持ったまま返してくれなかったので、
真夜中に土足で上がり込んでは
迎えに来るような男でした。
何度もケンカで殴られては
家を出て
寝ているときに迎えに来られ
また歩いて帰る・・・
そんな生活を2年近く過ごしていたある日。
いい加減限界にきた私は、
父親にすべての状況を話したうえで、
彼がいない間に荷物をまとめ
父に車で迎えに来てもらい
部屋から出ました。
荷物はほとんど私が持ち込んだものや
購入したものが多かったので、
彼は迎えに来ることもなく、
「別れてもいいよ」
という連絡をよこしてきました。
年末も近づき
合鍵を持たせたまま別れるのも嫌だったので、
友達に付き添ってもらい、
彼と待ち合わせをして
合鍵を返してもらうことに成功。
これで終わった・・・・・
やっともうあの苦しみから解放されるんだ・・・・
と思うととても気が晴れたのを今でも覚えています。
そして別れて初めてのクリスマス。
この話を明石家サンタに話して
プレゼントもらえたりしないかなー
と思い、
真夜中に実家で一人でテレビを見ていたころ、
真夜中にもかかわらずインターホンが鳴りました。
一瞬で嫌な予感がし、
すぐに開けることはせず、
10分ほど放置していました。
インターホンはその1回しかなることはなく、
玄関にそっと近づいた感じ、
誰かがいるような気配もなかったため、
恐る恐る玄関の扉を開けました。
するとそこには
何束かをまとめたような花束。
しかも、菊。
そうです。
彼は苛立ちと憎しみを抱え、
私にコンビニで売っているような
仏花を私の実家に届けたのです。
これが私が人生で初めてもらった、
最初の「花束」のお話。